2015年2月26日

【タイアップ】 レビュー『RED BULL MUSIC ACADEMY WORKSHOP SESSION × メトロ大學』



2月16日(月)京都のクラブMETROにて『RED BULL MUSIC ACADEMY WORKSHOP SESSION × メトロ大學』が開催された。
それを記念して、ARTLOGUEは今回のアカデミー・ワークショップとのタイアップでレビューを書かせて頂いた。

超満員の会場クラブMETRO

『RED BULL MUSIC ACADEMY(レッドブル・ミュージック・アカデミー)』は1998年、ベルリンから始まったRed Bullの主催する世界を巡る音楽ワークショップとフェスティバルの複合型イベントである。 世界各地から公募にて選ばれた音楽を愛し、探求しクリエイティブな活動をしている音楽プロデューサー、ヴォーカリスト、DJ、演奏家など30名から成る2組のグループが、毎年、開催都市に2週間滞在し音楽学校に参加する。内容にはレコーディング・セッション、著名な音楽関係者によるレクチャー、コラボレーション、そしてその街で最高峰のクラブやコンサート会場でのパフォーマンスが含まれる。

その『RED BULL MUSIC ACADEMY』と、クラブMETROが主催する文化創造と発信の“場”を提供する『メトロ大學』がコラボレーションをして『RED BULL MUSIC ACADEMY WORKSHOP SESSION × メトロ大學』が実現した。
第1部はレクチャー。世界のクラブシーンに刺激と影響を与えている新進気鋭のミュージシャンAOKI takamasa氏とSeiho氏のクロストークを、モデレーター荏開津広氏(DJ/音楽ライター)のファシリテーションにて開催。
クロストークはAOKI氏、Seiho氏の軽妙な語り口により、終始笑いを伴いながらリラックスした雰囲気で進んでいるが、音楽の原体験の話、制作に対するアプローチ、インスピレーションの源、さらには社会のあり方やモノゴトの考え方まで、二人のフィロソフィーを感じる本質的な話が展開された。

以下、備忘録程度に気になったフレーズやインスピレーションの源として見せていた映像を紹介する。

左:AOKI takamasa氏  右:Seiho氏

AOKI takamasa氏:
「スピーカーではなく、物自体がその場でなっている音が好き。F1や地震、ロケットも見てみたい。」
「制限なく、幅広く、量を見聞きする。日本の教育は制限が多い。」
「作られた話より、定点の視点で撮られた小津安二郎の映画などが好き、『小早川家の秋』や『浮草』など。極めて作為的に作為を消している。絶妙のリズム。」
「音楽は触れるような立体感が大事。大学時代にクラブでデカイ音を体で聞いた経験が大きい。」
「エンジニアとのコミュニケーションは数値で指示するより、感覚で会話した方がいい結果になる。お腹のあたりが寂しいとか、耳が痛いとか。」
「苦手なものはなかなか受け入れられないが存在してもいい。」
「ヒットするには何か理由がある。宣伝だけではダメ。」
「この瞬間に地球に来ましたという意識でいれば面白い。日々ポジティブに生きるためにも受け入れを広げる。」
「リミットを学校、テレビ、親などに植え付けられている。鳥かごの中にいることを認識出来ていない。そこから出ることが重要。」
「レゲイは勝手に生えてきた草花みたいなもの。勝手み盛り上がって、レゲイというスタイルになった。若い人も良いと思ったら伸びきったほうがいい。」
「自分は鋼鉄の鳥かごにいて、知らず知らずにストレスを溜めていた。911など良いか悪いかは別として突き抜けている奴はいる。自分達のリミットの差」
「叩いたら反応は返ってくる。因果応報。反作用に責任を持てるなら何をやってもいい。」
「音楽で多くの人に解放とポジティブを与えられたらいい。解放のされかたは人それぞれ。音楽でも花でもホラーでも。」
「制作にはビジョンを持つべき。目標を作る。」
「音楽は受け継ぐもの。真似る。好きな音楽に自分の音を足して、元の音楽を消してみる。」
「ダンスミュージックは踊れるかが重要。シンプル、直感、思考が働いていない、動物の様。怒りや悲しみがなく瞑想に近い。」
「アートは価値の無いモノに価値を与えている。アートは舶来物、ようやく僕ら世代が意識し始めている。」


Seiho氏:
「なるべく多くの情報を得たい。量を見ればピックアップの能力が身につく。」
「良いものを10コ見るより、ダメなものを90コ見た方がいい。興味の幅が広がり過ぎておかしくなっている。」
「半野喜弘さんとAOKI takamasaさんのイベントに行った。影響を受けた。」
「音楽を作る時には先に映像がある。黒、革、光とか質感、色、ライティングだけがある。黒い空間にモノを置く。」
「オーネット・コールマンのジャズが好き。マイルス・デイビスの音はつかめない。」
「カールステン・ニコライを大阪で見た。エレクトロニクスはつかめる音楽を作りやすい。バンドはつかめなかった。」
「場の空気感が大事。若い子がやっている所は機材的に良い環境ではないが、エネルギーがある。」
「映像紹介:『原田知世/時をかける少女 予告編』縦文字がヤバイ。割れる音はビーカーだが、上がる音が解らない。ヤバイ。」
「映像紹介:『ゲーム機の起動画面・プレイ画面集(1977~2014)』ドリームキャストがいい。」
「映像紹介:『ニューエイジ系 ミュージック』カルト宗教っぽい。CDから光が出ている。ニューエイジ系は9時間とかある。どこを聞いても同じ。ヤバイ。」
「映像紹介:『Me & My - Dub-I-Dub』最近、自分の中で90年代がリバイバルしている。10年くらい前はダサくて聞けなかった。」
「2015年、ただこれがヤバイと思っている。意味は無い。嫌いなものを好きになりたい派。」
「良さを知り、受け入れることが重要。」
「ステーキは途中で飽きるから、これが10万円です、ラスト一切れを30万円と思い込む。美味しく感じる。自己催眠。」
「映像紹介:『HD セントラルドグマ -synra editon- 日本語ナレーション版』理研のビデオ。絵が回っている。凄く良い。」
「自分はリミットが分からない。他人にもなれない。」
「音楽を作っている理由は、同じ順序、行為など手続きを経れば自分と同じ幸せを感じられるから。」
「アーティストがアーティストとしていられない時代。納豆を食べているところを見られる。それを含めて自分。」
「ライブの時は30分はこうゆうお約束でお願いしますという契約。劇なども。」
「スーパーは世界各国どこでもイオンみたい。そこでかかっている音楽がグローバルの象徴。みんなが持っている面白さ。既視感。」
「親の影響でJポップより先にジャズを聞いている。」
「音楽で生活していくには、基本的に心でなっているかどうかだけ。最初に作った人しか偉くない。クリエイターはそれが大事。」
「リズムは引き算。いかにカットするか。彫刻のように根本まで削ってグルーブを感じられるか。」
「自分の中では吉本新喜劇が重要。キャラが何をやっているか。同じ可愛い行為でもがやっているかで意味が違ってくる。」
「Sugar's Campaignと個人の活動を人がどう見るかを考えている。」
「アートの中にミュージックはあるけど、みんなのイメージではアートの外にある。」
「最近のクラブシーンなどが現代美術に落とし込まれるのが近年来そう。」



クロストークは約1時間半程あったが、終示唆に富む話で時間を感じさせなかった。二人が主戦場としているクラブという場は、作品をどれだけ高尚に論じても、目の前のフロアーにいるオーディエンスを盛り上げられなければ全く意味がない。しかも、多くがビジュアライズされており、また作品の捉え方を鑑賞者に委ねられる現代美術作品などと違い、「音」という極めて抽象的な現象を扱い、人々のプリミティブな”何か”に働きかけ「踊り」を誘発させなければいけないというのは、もはや魔術師的な行為にも感じられる。

AOKI takamasa氏とSeiho氏は二人共、とてもアートに興味を持っているようなので、これを機に我々も一緒にアートとクラブカルチャーの融合を模索出来れば面白い。

Egyptology × 千住宗臣 ライブ

その後、第2部ではDigital Choc(フランス)とGranulr Agency(京都)の合同イベント「Red Bull Music Academy × Digital Choc × Granulr Agency」を開催。今最も注目を集める気鋭のフランス・エレクトロニック・ミュージック・グループEgyptology(from FRANCE) と、ここ数年ジャンルレスにラディカルな活動を続けるバンド「ボアダムス」の元メンバーにしてスーパードラマーの千住宗臣(Para、ex-Boredoms)のライブや、Seiho、Metome、Rem Kina、AOKI takamasa、Hal (collect.apply)、Masahiko Takeda (Récit Records)、Tatsuya Shimada(night cruising)等のライブ、DJで盛り上がった。


Red Bull Music Academy(レッドブル・ミュージック・アカデミー)は、ベルリンを出発点としてケープタウン、サンパウロ、バルセロナ、ロンドン、トロント、ニューヨーク、東京と地球を横断してきた。そして、2015年はフランス・パリに会場を移して開催される。
世界中から集った才能と、世界最高峰の環境と講師陣によるレクチャーが受けられるだけではなく、渡航費から滞在費までも提供されるというこのアカデミーに応募してみてはどうだろう。
全てのコミュニケーションは英語というハードルはあるが、参加出来ればそこから世界への道が開かれることは間違いない。
Red Bull Music Academyの公式サイトには昨年の東京の様子が垣間見れるビデオも載っている。これを見ればクリエイターなら誰もがこのプログラムに参加したくなるだろう。
Red Bull Music Academyにより多くの日本人が参加して、そこで得たナレッジやクリエーションを駆使して、この日本をさらに面白い場にして欲しいと願う。

応募締切は2015年3月4日(水)まで(当日消印有効)
Red Bull Music Academy公式サイト
http://www.redbullmusicacademy.jp/jp/magazine/arigato-tokyo-bonjour-paris



クラブMETRO http://www.metro.ne.jp/


AOKI takamasa (raster-noton / op.disc / A.M.) http://www.aokitakamasa.com/
1976年生まれ、大阪府出身。自身にとってのファースト・アルバム「SILICOM」をリリースして以来、自らの方法論を常に冷静に見つめ続け、独自の音楽表現の領域を力強く押し拡げる気鋭のアーティスト。2004年~2011年はヨーロッパに拠点に制作活動、世界各国でのライブ活動を行い、国際的に非常に高い評価を受けている。2011年に帰国し、現在は大阪在住。
これまでにPROGRESSIVE FOrM、op.disc、fatcat、raster-noton、commmons等、国内外の人気レーベルからのソロ作品や、過去には高木正勝とのユニットSILICOM、Tujiko Norikoとのコラボレーション・アルバムもリリース。また、坂本龍一、半野喜弘、サカナクション等のリミックスやエンジニアとしてBUN / Fumitake Tamuraらのミックスも手掛けている。音楽活動の他、写真家としても精力的に活動中。2013年よりグラフィックデザイナーMAAとのハイブリッドデザインプロジェクト 『A.M.』を始動。


SEIHO http://idlemoments-jp.com/all/seiho.html
アシッドジャズが鳴りまくっていた大阪の寿司屋の長男にして、2013年、中田ヤスタカらと並びMTV注目のプロデューサー7人に選出され、Sonar Sound Tokyoに国内アーティストとしては初の2年連続出演(2012/2013年)、Mount Kimbie、2 Many DJ’s、Capital Cities、Disclosure、Flying Lotusらの日本ツアー・オープニングまたは共演、そして同郷Avec AvecとのポップデュオSugar’s Campaignでも注目度↑↑↑のビートメイカー兼DJ兼プロデューサー。自身が主催するレーベルDay Tripper Recordsより1stアルバム『Mercury』(2012)、2ndアルバム『Abstraktsex』(2013)をリリース。2014年2月にはブルックリン拠点Obey City(LuckyMe)とのスプリットEP『Shochu Sounds』をPerfect Touchよりリリースしている。また、他アーティストへのプロデュース/リミックス・ワークとして、Les Sins(Toro Y Moi)、YUKI、東京女子流、パスピエ、KLOOZ、Ryan Hemsworthなどを、また、CM音楽やTV番組のサウンド・プロデュースなども手掛けている。


写真:(C) Suguru Saito/Red Bull Content Pool



 お好きな美術館へ1年間ご招待!! CURATORS TVアンケート


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2015年2月16日

お好きな美術館へ1年間ご招待!! CURATORS TVアンケート 

お好きな美術館へ1年間ご招待!! CURATORS TVアンケート 

応募終了! 多くのご応募・ご協力ありがとうございました!


CURATORS TV ( http://www.curatorstv.com/ )のお好きな展覧会のギャラリートークビデオを1つご視聴(5分以上)のうえ、アンケートにお答え下さい。(回答時間約3分)
※これまでに、CURATORS TVをご視聴したことがある方は、直接アンケートにお進みください。

抽選で、5組10名様に『お好きな美術館へ“1年間”ご招待!!』が当たります。


さらに、Twitter、FacabookなどSNSや、ブログなどで本アンケートをご紹介頂いた方は当選確率が2倍になります!!

奮ってのご応募よろしくお願い致します。



応募締切:2015年 3月 25日 (水)


※1 ご希望の美術館で行われる企画展もしくは常設展へ1年間(2015年 4月 1日 ~ 2016年 3月 31日)ご招待致します。イベントなどは含まれません。
※2 厳正なる抽選後に、ご当選者のみにご連絡を差し上げます。
※3 ご応募はお一人様1回に限ります。
※4 会場までの交通費・宿泊費等は当選者様にご負担いただきます。
※5 当選権利の譲渡、転売はできません。
※6 ご紹介による当選確率が2倍は弊社スタッフの確認が取れたもののみになりますので、公開設定などお気をつけ下さい。

※7 各展覧会毎に1回つづご招待いたします。






(一般社団法人 WORLD ART DIALOGUE)のご紹介


ARTLOGUEの前身「キュレーターズ・ティービー CURATORS TV プロジェクト」は、美術館、アート施設などで行われているギャラリートーク(作品解説)映像を一次資料(リソース)とし、それを大量収集、保存した上で、インターネットを通して配信することにより、アートへのアクセシビリティの向上、理解の促進、アートに対する地域間や身体的格差の是正を目標としたプロジェクトです。CURATORS TV プロジェクトは、2010年大阪市立大学都市研究プラザにおけるグローバルCOE「社会的包摂と文化創造に向けた都市の再構築」の一環として始まり、2年間の準備期間と1年間の実施を経て、2013年4月に一般社団法人WORLD ART DIALOGUE(ARTLOGUE)を設立いたしました。学術研究上の共有リソース構築に加え、市民へのサービスを含む社会性の高い事業へと練り上げてゆくことを視野に入れ、必要に応じ、大学内での事業、社会での事業という形に切り分けながら、社会的インフラとしてアクセシビリティの高いコミュニティを形成することが目的です。
また、経済不況の中、余暇市場の大幅な縮小や税収の減少、日本人の美術鑑賞時間の減少などもあり、アートに対する縮小圧力は日に日に高まって来ています。しかしその一方で、アートへの潜在的なニーズが高まっているというデータも発表されており、アート業界がニーズを汲み取れてない現状も見えています。

私たちARTLOGUEは、アートへのニーズを少しでも汲み取り、一人でも多くの市民がアートに接する機会を得て、アートを楽しむきっかけをつくるために、ITなどを用いた新しサービスの開発を行っております。


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